昨日の夕暮れは、
あの人と二人で丘の上の病院の7階から、
伊予灘に沈む夕陽を見た。
よく晴れて、それは綺麗な落日だった。
地球の回転に飲み込まれそうな十数分間だった。
地球の音が聞こえた。
大気圏が宇宙と摩擦して立てるノイズが聞こえた。
それで良いと思った。
あの人は、ひざを揃えて行儀よく座り、
軽く造られた椅子に背筋を伸ばし、
黙ってそれを見ていた。
ボクたちは、 それぞれ好みの暖かい飲み物を飲んだ。
それで良いと思った。
やがてあたりは暗くなり、
君の隣に居るボクは、
居なくなった。
2010.12.20