2010年12月20日月曜日

あたたかいのみもの

The chart plots the times of sunrise and sunse...

昨日の夕暮れは、
あの人と二人で丘の上の病院の7階から、
伊予灘に沈む夕陽を見た。

よく晴れて、それは綺麗な落日だった。

地球の回転に飲み込まれそうな十数分間だった。

地球の音が聞こえた。
大気圏が宇宙と摩擦して立てるノイズが聞こえた。
それで良いと思った。

あの人は、ひざを揃えて行儀よく座り、
軽く造られた椅子に背筋を伸ばし、
黙ってそれを見ていた。

ボクたちは、 それぞれ好みの暖かい飲み物を飲んだ。
それで良いと思った。

やがてあたりは暗くなり、
君の隣に居るボクは、


居なくなった。

2010.12.20


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2010年11月18日木曜日

夏。2010年

記録した。





2010年の夏だ。





いつだって、
一度きりの、
夏、




夏とは、
夏とは、





そういうものだ。



普段通りに生きてる数だけ、
一度きりの、
普段の
夏だ、
いつだって、







ボクは、










記録した。






2010年のボクたちの,



夏も。






・・・21st Aug. sat, 7:XX






・・・23rd Aug. mon




救急から移った先でHCUに入り、夜、付き添いできない。
(オレは、人の人生に関わる意味がわかっているのか?
あの人の人生の時間を決めた意味が、わかっているのか?)




・・・




文章に落とさないと、
この自問が雲散霧消しそう




・・・




あの人の人生は一瞬で、
思わぬ向きに変わった。
オレが決めてしまったあの人の時間の流れの、
その先に、
こんなことがあるなんて、あの人は望むわけも無く、
オレはまさかこんなことが起きるなどと、
思うわけもなく。









今この時間は、





何なのだ?






・・・



人のことを考えるなんて、オレには、出来て、いない。










・・・24th Aug. tue



メソメソしている



名前を呼んでいる



ふがいないと思う心に負けそうになっている




・・・



あの人は、
することもなく、
話す言葉も相手もなく、
ただ、
座っている。



昼の光の中で一人、座っている。
夜半に目覚め、ただ一人、座っている。



水の滴りを受ける磐のような、
滑らかな時間があの人の中を、じっと見つめる瞳の奥を、
静かに、
過ぎてゆく。



酸化が進む時の流れに従容と、
ボクの傍らで小さな溜息を漏らす静かな告発。



責めてないわけはないのだから
ずっと責め続けていたのだから
ある朝突然、言葉を無くしたあの人の新しい戦略。



泣いても仕方がないのにね。
勝手に出るけど何故なんだ?
理由など追わず、このままでいようか。




・・・




あの人の涙はどうなんだ?
見える涙、見えない涙。









・・・25th Aug. wed




満月だと言いそびれた。
月を好いてるあの人に。



あの人の一分一秒、一日一日。



あの人の今夜、あの人の明日。
どんな気分で目覚めるの。
君の大切なすべての朝。



ボクより良い気分で朝を迎えて下さい、ボクより良い気分で朝を迎えて下さい。







そうやって逃げ道をつくり、
ボクは小さく丸くなる。



あの人の朝の気分、
あの人の昼の気分、
あの人の夕暮れの気分、
あの人が眠りにつく気分。



ボクは、
あの人になりたい。



あの人の月夜。







・・・26th Aug. thu



なにもかもが一人分少ない朝








・・・30th Aug. mon



We’ve only just begun to live.



I won’t last a day without you.



可愛い花




ボクは自覚なく彼女を愛しているのだ。不何思議かな。



ボクはそう思ったさっきの瞬間が、



昨日も明日もなくボク自身、ボクの本体であり、



再び三度、彼女に言い放たれるのだ。あなたは生活感が無い。



ボクの終わりは君の永遠であるとボクは験る。



君以外のことを考えたときに授罪する妄想の甘美



君に集中する深夜の贖罪






・・・1st Sep. wed



人としての輝きに、素直に向き合いたい。



人は花、光の束。



君は毎日繰り返す一日の仕事を終え、毎日のどんな思いで家路に

2010年4月8日木曜日

杜の垂線

小高い丘

古寂びた木立の梢を渡る
薄暮の風

少年の頃のまま、永遠のようである

ボクは再生し
ボクの人生に戻ってきた

杜の上空はこの丘の広さで
あらゆる時代の命を包容し
鈍く輝いている
一本の柱となって

今、
戻ってきた


2010.4.8

梢
posted by (C)cazusci

2010年2月14日日曜日

叙景散文、控え(2009.11.26~2010.1.27)

Twitter @cazusci_ex に呟いた、北四国の叙景。



2009.11.26 (木)
幾重にも重なり、柔らかな稜線が奥行きを見せる石鎚連峰。明るい秋の青空の下、透かし絵のような濃淡は、山の冷気のせいでしょうか。全体が、まるで音楽です。(川内)



2009.12.1(火)
やがて小柄なちどりが白い船体を輝かせ、沖に姿を見せる。見る見る近づいたかと思うと軽快に舵を切り、九十度の航跡を残しながら、防波堤の中に滑り込む。優雅に速力を落とし、着岸するまでの全てを、晴れた日の港では見ることが出来る。(今治港)


燧灘の北辺を辿り、今治に向かう船。標高の高い稜線が南の雲の上に浮かぶ四国山脈は、この海域で一際巨大なものであることが解る。どっちを向いても何かが見える、箱庭のようなこの海域で、「遥か」と言う言葉に相応しい存在。(燧灘)



2009.12.8(火)
雲一つない冷えた空に朝日がぐるりと描き出す石鎚連峰の稜線は、まるで大きな旋律です。その指先のような丘の下、ランドセルの子供達が畦道を急ぎます。(川内)



2009.12.18(金)
昨夜の嵐は道後平野を見守る山に雪をもたらしました。名前の通りの皿ケ峰は、標高千mの林道から上が白くなる独特の雪景色を見せ、地肌がちの斜面まで冠雪しています。中腹の里山、上林地区の見事な雪化粧が、平地からもよく見えます。古くは温泉郡と呼ばれたこの地に、本格的な冬の到来です。(川内)


新居浜にて。きつく冷えた空気の向こう、雄大に伸びる前線の低い雲の下に、燧灘の対岸の芸予諸島が、くっきりと見えています。複雑な稜線は大島、すぐ横の堂々たる稜線は大三島でしょうか。伯方島のピラミッドは見えるかな。大きな壁のようなのは、生口島でしょう。(新居浜)


高速バスは四国山地の中腹を走ります。目前が、瀬戸内海の真ん中の燧灘です。対岸の山どれかが、鞆の浦を抱える沼隈半島です。比較的低い山陽道の山並みは、諸島と区別がつきません。(土居)


弓削島から見た、こちら側の景色を思い出します。新居浜出身のボクには、まるで彼岸から見た此岸でした。こんな冬の日、二千m近い主峰を持つ石鎚連峰は、瀬戸内海の一番奥に、誇らしく、神々しく、白く、冷厳な姿を見せていることでしょう。(土居)



2009.12.25(金)
道後平野のクリスマスの朝は晴れ。冷たい風を吹き下ろす東の山々は柔らかく霞み、淡い色合いを変えています。高速バスはたちまちにして、まだ薄明かりに霞む東の山襞に入っていきます。(川内)


空は青いのですが、松山道から見る燧灘南岸は深い霧に微睡み、まだ陽がさしていません。かなり冷えているのではないでしょうか。(西条)


讃岐平野は一面の朝日、冬の枯れ色がこがね色に。粒子の反射で光りがふくらむ冷気の奥、五岳山に守られた善通寺五重塔。(善通寺)



2010.1.27(水)
よく晴れた冬の午後の暖かな陽射しをうけ、東の青空には、陰影鮮やかな白い石鎚の威容。二千メートル近い西日本最高峰の麓を、桜三里を越えた松山道が道前平野に出ると、太陽は峠の後ろに落ちかかり、燧灘は、弱々しい光に包まれようとしています(川内から西条)


黄昏れ時に西空を見れば、微かな光を集めて反射する溜め池が、讃岐平野のあちこちに大きな破れめをつくり、向こうの世界を覗かせているようです。その光の穴も、あっと言う間に暗闇に呑まれて、暗く冷たい時間がやってきます。(三豊)




上島町佐島の夕日
上島町佐島の夕日 posted by (C)cazusci

2010年2月10日水曜日

立春

「女性」性のようなもの

優しい波が幾重にも重なり、複雑に、甘美に、温かな液体
柔らかな、終わりのない

奥深く果てしなく
・・・何も無いのだが
終わってしまえば別々になる
・・・だから

無「性」からの生成を信じるサガ


「あら、私たちは元々泡から生まれたのよ」そこに帰り、そこからやって来る

一滴の春


2010.2.10

徳島市、新町川
徳島市、新町川 posted by (C)cazusci

2010年1月25日月曜日

動悸

WUHAN, CHINA - OCTOBER 9:  A visitor holding a...

切り替えよう


呼吸


動作




頭の切り替えを


指肉の傷が教えてくれるように



切り替えよう


気づかせてくれる相手


変える対象



ありがとう


大好きな君


2010.1.25





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2010年1月11日月曜日






ボクはこの画像のまえで、一瞬立停る


ボクは生きたいと思う

死ぬまで生きたいと思う


ボクの命はボクが決めていると思う

死ぬまで生きたいボクが決めていると思う

ボクは死ぬまで生きていると思う

それだけは自信がある


ボクは一瞬立停る

冷えた体温は凍りつく

音楽に秘められた冷たい体温に

年をとってから気付かされるのは狡い


血が漏れている


熱い息の墓場の

土草の匂い


旋律に


年をとってから気付かされるのは狡い

ボクは生きたまま死ねると思う


ボクのハープシコードは

全部の時間を腐った血と青い土の臭い


脳漿の

全身の細かい穴という穴から


音は出ない

全てを生きよ

ボクのハープシコードは



20101.11




(via appuntinovalis)

2010年1月10日日曜日

どれほどの

君たちとのお付き合いがあれば

君たちの自信になるのかい?

ボクたちよ



どれほどの

ボクたちとの旅があれば

ボクたちの自信になるのかい?

君たちよ



黒い海を疾走する

小さな高速艇の船底に

瀬戸内海のビートを感じながら



ああ、ここに生まれて、良かったと思う



うたた寝


2010.1.10

宮窪瀬戸。流れる海。
宮窪瀬戸。流れる海。 posted by (C)cazusci