2010年2月14日日曜日

叙景散文、控え(2009.11.26~2010.1.27)

Twitter @cazusci_ex に呟いた、北四国の叙景。



2009.11.26 (木)
幾重にも重なり、柔らかな稜線が奥行きを見せる石鎚連峰。明るい秋の青空の下、透かし絵のような濃淡は、山の冷気のせいでしょうか。全体が、まるで音楽です。(川内)



2009.12.1(火)
やがて小柄なちどりが白い船体を輝かせ、沖に姿を見せる。見る見る近づいたかと思うと軽快に舵を切り、九十度の航跡を残しながら、防波堤の中に滑り込む。優雅に速力を落とし、着岸するまでの全てを、晴れた日の港では見ることが出来る。(今治港)


燧灘の北辺を辿り、今治に向かう船。標高の高い稜線が南の雲の上に浮かぶ四国山脈は、この海域で一際巨大なものであることが解る。どっちを向いても何かが見える、箱庭のようなこの海域で、「遥か」と言う言葉に相応しい存在。(燧灘)



2009.12.8(火)
雲一つない冷えた空に朝日がぐるりと描き出す石鎚連峰の稜線は、まるで大きな旋律です。その指先のような丘の下、ランドセルの子供達が畦道を急ぎます。(川内)



2009.12.18(金)
昨夜の嵐は道後平野を見守る山に雪をもたらしました。名前の通りの皿ケ峰は、標高千mの林道から上が白くなる独特の雪景色を見せ、地肌がちの斜面まで冠雪しています。中腹の里山、上林地区の見事な雪化粧が、平地からもよく見えます。古くは温泉郡と呼ばれたこの地に、本格的な冬の到来です。(川内)


新居浜にて。きつく冷えた空気の向こう、雄大に伸びる前線の低い雲の下に、燧灘の対岸の芸予諸島が、くっきりと見えています。複雑な稜線は大島、すぐ横の堂々たる稜線は大三島でしょうか。伯方島のピラミッドは見えるかな。大きな壁のようなのは、生口島でしょう。(新居浜)


高速バスは四国山地の中腹を走ります。目前が、瀬戸内海の真ん中の燧灘です。対岸の山どれかが、鞆の浦を抱える沼隈半島です。比較的低い山陽道の山並みは、諸島と区別がつきません。(土居)


弓削島から見た、こちら側の景色を思い出します。新居浜出身のボクには、まるで彼岸から見た此岸でした。こんな冬の日、二千m近い主峰を持つ石鎚連峰は、瀬戸内海の一番奥に、誇らしく、神々しく、白く、冷厳な姿を見せていることでしょう。(土居)



2009.12.25(金)
道後平野のクリスマスの朝は晴れ。冷たい風を吹き下ろす東の山々は柔らかく霞み、淡い色合いを変えています。高速バスはたちまちにして、まだ薄明かりに霞む東の山襞に入っていきます。(川内)


空は青いのですが、松山道から見る燧灘南岸は深い霧に微睡み、まだ陽がさしていません。かなり冷えているのではないでしょうか。(西条)


讃岐平野は一面の朝日、冬の枯れ色がこがね色に。粒子の反射で光りがふくらむ冷気の奥、五岳山に守られた善通寺五重塔。(善通寺)



2010.1.27(水)
よく晴れた冬の午後の暖かな陽射しをうけ、東の青空には、陰影鮮やかな白い石鎚の威容。二千メートル近い西日本最高峰の麓を、桜三里を越えた松山道が道前平野に出ると、太陽は峠の後ろに落ちかかり、燧灘は、弱々しい光に包まれようとしています(川内から西条)


黄昏れ時に西空を見れば、微かな光を集めて反射する溜め池が、讃岐平野のあちこちに大きな破れめをつくり、向こうの世界を覗かせているようです。その光の穴も、あっと言う間に暗闇に呑まれて、暗く冷たい時間がやってきます。(三豊)




上島町佐島の夕日
上島町佐島の夕日 posted by (C)cazusci

2010年2月10日水曜日

立春

「女性」性のようなもの

優しい波が幾重にも重なり、複雑に、甘美に、温かな液体
柔らかな、終わりのない

奥深く果てしなく
・・・何も無いのだが
終わってしまえば別々になる
・・・だから

無「性」からの生成を信じるサガ


「あら、私たちは元々泡から生まれたのよ」そこに帰り、そこからやって来る

一滴の春


2010.2.10

徳島市、新町川
徳島市、新町川 posted by (C)cazusci